2006年07月28日

◆祇園祭(祗園御霊会)とスサノヲの謎(十八)

◆祇園祭(祗園御霊会)とスサノヲの謎(十八)


◆祇園祭(祗園御霊会)とスサノヲの謎(十八)

◆◇◆祇園祭(祗園御霊会)、祇園神は、スサノヲ命(須佐之男命・素戔嗚尊)=武塔神=牛頭天王(1)

 祇園祭(祗園御霊会)が始まったのは、平安京が定められて、都市化が進んだ貞観十一年(八六九年)だ。しかし、「祇園神」が鎮祭されたのは、それよりさらに古く、奈良時代以前に遡る。記録の上では詳らかでないが、斉明天皇二年(六五六)高句麗の使、伊利之使主(いりしおみ)が来朝したときと伝えられている。

 伊利之は『新撰姓氏録』に八坂造の祖に、意利佐の名がみえ、祇園社附近はもと八坂郷と称したことによる。すなわち、高句麗より渡来した人々が住みついて、スサノヲ命(素戔嗚尊)を祀ったとされている。また八坂氏は古くから八坂の地で、農耕神として「天神」(雷神)も祀っていた。

 平安京の成立とともに人口が急増、それとともに疫病(悪疫)が度々流行した(むかしは、疫病の流行は大災害でした)。京の人々は恐怖し、それを何とか防ぎ除くために、「道饗祭(みちあえさい)」「疫神祭(えきしんさい)」「御霊会(ごりょうえ)」が頻繁に行われた。

 都の郊外にあった八坂の地でも、貞観十一年(八六九年)、「御霊会(ごりょうえ)」が行われ、これが祇園祭(祗園御霊会)の始まりとされている。さらに疫病(悪疫)を祓う威力(霊威)の強い神を求めようとした。

 貞観十八年(八七六年)、播磨の広峯社(現姫路市内)から疫神=疫病払いの神として牛頭天王(すでに播磨の広峯社の時点で、牛頭天王と素戔嗚尊は同体化・習合されていたようだ)が勧請された。疫病払う神・牛頭天王は、日本人にとっては素戔嗚尊であったのだ。また、スサノヲ命(素戔嗚尊)は武塔天神ともされた。

 そのことは、『伊呂波字類抄』に、「天竺北方の九相国に吉祥園があり、牛頭天王はその城の王で武塔天神ともいう」と記されており、さらに『備後国風土記』の逸文には、「昔、武塔神が旅の途中、蘇民将来は貧しかったけれども宿を貸してもてなし、弟巨旦将来は富み栄えていたが断ったため、後に疫病が流行したとき、蘇民将来の子孫には茅の輪をつけて災から免れさせたが、その他の者はことごとく死に絶えた」という説話が記されていて、これに「われはハヤスサノヲの神(速須佐雄能神)なり」と云ったとあることによる。

 『釈日本紀』には「これすなわち祇園社の本縁なり」ともありまして、古くより、牛頭天王と武塔神が、スサノヲ命(素戔嗚尊)と習合されていたことがわかる。昔は、疫病は死に直結する恐ろしい災厄であった。だから、疫病を鎮める力を持つ神に対する信仰は、大変に篤いものがあった。そうした神様が京都八坂神社の牛頭天王(ごずてんのう)であり、武塔(むとう)神であり、スサノヲ命(須佐之男命・素戔嗚尊)であったのだ。

 祇園社(祇園御霊会)の「祇園の神」は「牛頭天王」(ごずてんのう)とされているが、これも明治後スサノヲ命(須佐之男命・素盞鳴尊)に一本化され、八坂神社の祭神はスサノヲ命に改められた。スサノヲ命と牛頭天王は同体だということからである(同体化は、八坂神社創建の時点に遡ります。社名も幾度も変わり実体を捉えるのは困難だ。しかし、津島神社の同体化の経緯から探ることができそうである)。

 妻神・子神である合祀の女神・頗梨采女(はりさいにょ)と八王子たちも、クシナダ姫と八柱の御子神とに変更された。女神・頗梨采女(はりさいにょ)と八王子たちは、元々は、道教の神々であった。頗梨采女は「歳徳神」であり八王子は「大将軍」などの八方位神であったのだ。


スサノヲ(スサノオ)


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