2006年08月03日

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(三)

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(三)


◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(三)

◆◇◆「お盆」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、旧暦による民俗習慣

 東京あたりでは、七月十五日(新暦)を中心に、十三日を「迎え盆」、十六日を「送り盆」といい、十三日から十六日までの四日間を「お盆」の期間(※注1)としているそうだが、関西をはじめ全国各地とも、こと「お盆」に関しては、圧倒的に旧暦の七月十五日もしくは、その便宜上の変形である新暦の八月十五日を中心に「月遅れのお盆」が行われている。

 この現象は、「正月」をはじめ数々の伝統的な節句や民俗習慣が、なんでもかんでも「文明開化」の名の下に欧米化を進め、何の関連もない新暦(グレゴリオ暦)で実施されるようになった明治期以後の日本にあって、奇跡的にも旧暦の側が優勢な民俗習慣として残っている(※注2)。

 お盆は、元来は日本固有の先祖祀りがモトになっている。ところが、江戸時代に入り、幕府が檀家制度により、庶民の先祖供養を仏式によるよう強制したため、お盆も仏教のみの行事と誤解されて、現在に至っているのである。

 我が国では、古くから神祭りと共に、先祖の御霊を丁重にお祀りする祖霊祭祀が行われ、人々は神と祖霊の加護により平安な生活を過ごせると考えていた。この神とは唯一絶対の神でなく、自らと繋がりのある先祖が徐々に昇華して神となった存在であると信じていたのである。

 年中行事の中で、お盆と正月が二大行事として重視されるのも、お盆が先祖を、お正月が歳神(稲魂であり祖霊でもある)をお祀りする行事として、いづれも我々と繋がりのある祖霊や神々をお招きするという意味を持つからなのだ。

 ちなみに、仏教行事のお盆は、『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』という経典によるものであり、仏弟子の目連が餓鬼道に落ちて苦しんでいる母親を救うために、釈迦の教えで、七月十五日に安居(あんご・修行)を終えた僧侶を百味の飲食(おんじき)を供えて供養したところ、その功徳により母親を含め、七世の父母(七代前の先祖)まで餓鬼道から救済することができたという孝行説話に基づくものである。

 仏教が我が国に伝来すると、こうした盂蘭盆会(うらぼんえ)の行事が諸寺院において行われるようになった。当初は僧侶の供養が中心だった「盂蘭盆会」は、その後、我が国の祖霊祭祀と結びついて、先祖を祀る「お盆」となるのだ。 現在、地域や各家庭により新・旧暦を基準とし、七月十五日前後にお盆が行われるが、いづれにしても、日本古来からの大切な「先祖まつり」の時であることに変わりはないのである。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)お盆は先祖が帰ってくる期間あり、日本の重要な年中行事の一つである。また、お彼岸と並んで大きな仏教行事の一つで、先祖の霊を供養する行事だ。お盆は盂蘭盆ともいうが、これは、梵語(古代インド語)の「ウランバナ」(逆さ吊りの意)が語源になっている。

 お盆は、この盂蘭盆が略されたものといわれている。お盆には先祖の霊が家に帰ってくると考えられており、各家庭では迎え火を焚いて先祖の霊を家に迎え、ナスやキュウリで作った牛馬などのお供え物を用意して先祖の霊を供養する。先祖と一緒に過ごした後は、送り火を焚いて先祖の霊を見送る。

 お盆の由来はというと、釈迦の弟子の目連が、餓鬼道におち、逆さに吊るされ苦しんでいる母親を助けてほしいと釈迦に教えをこい、七月十五日に供養をしたのが、盆行事の始まりといわれている。現在では、新暦の七月十三日に先祖の霊を迎え、十六日の夕方に送り出すのが一般的だが、旧暦の七月十五日前後や月遅れの八月十五日前後に行う地域も多くなっている。八月十三日から十六日頃には、お盆休みで帰省ラッシュになるのも、都会の人々が、お墓参りをするために故郷に帰る習慣が定着化したためである。

(※注2)元来、お盆の行事は旧暦の七月十五日に行われていたのだが、明治時代に新暦になってからは時期が三つに分かれてしまった。

 一つは新暦になってもそのまま七月十五日におこなう七月盆、つぎに七月ではあまりに早すぎるというので月遅れでおこなう八月盆、もう一つは旧暦の七月十五日におこなう旧暦のお盆である。関西地方ではほとんどが八月盆のようである。どうも、本来は初秋の行事であったようだ。


スサノヲ(スサノオ)


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Posted by スサノヲ(スサノオ) at 21:13│Comments(0)スサノヲの日本学
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