2006年08月18日

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十六)

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十六)


◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十六)

◆◇◆地蔵盆(地蔵盆会)と地蔵(お地蔵さま)

 お盆は亡き人やご先祖さまの霊を弔う夏の行事だが、このお盆の行事で特に子どもたちが主人公となるお盆を「地蔵盆」という。地蔵盆の「地蔵(お地蔵さま)」(※注1)とは「地蔵菩薩」(※注2)のことである。「地蔵菩薩」は釈迦入減後、未来に弥勒菩薩(みろくぼさつ)が現れるまでの間、すべてのものに救いの手を差し伸べてくれる仏さまとされている(※注3)。

 特に子供の守り仏として篤い信仰を集め、そのため、八月の「地蔵(お地蔵さま)」の縁日(二十四日)前後には、お盆の行事と「地蔵(お地蔵さま)」のご縁日とが一緒になって、地蔵盆が行われる。

 「地蔵(お地蔵さま)」を祀るお堂や祠は提灯で飾り立てられ、子供たちが主役となって念仏を唱えての数珠回しや、福引、映画の上映や盆踊りなど、町ごとに趣向をこらした行事が行われ、子供も大人も共に夏の終わりを楽しむ。

 京都では、八月二十三、二十四日には各町内の辻々に祀られている石地蔵に子供達が集まり、灯明・供物を供えてお祭りする。また、京都では、六地蔵巡り(※注4)を行うのもこの日で、洛外六ヶ所にある地蔵尊の六地蔵詣でが行われ、各地蔵をめぐっては地蔵幡をもらい、これを戸口にさげて疫病を祓うという。京都化野念仏寺の千灯供養なども、この地蔵盆の行事の一環である。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)「地蔵」は「地」の菩薩のことである。ところが、平安末期、末法思想のなか「地蔵」はあの世とこの世の境界で衆生を助ける菩薩として信仰された。あの世とこの世の境界にある不安定な子どもの魂は、「子守地蔵」や「延命地蔵」によって守られると理解されていた。

 応仁の乱後、都の再生、条坊街路内部が宅地化され路地ごとに地蔵が置かれる。とくに長屋では共同便所・共同井戸であり、体力のない子どもの病死が後をたたなかったようだ。狭い長屋での共同生活では、子どもの死を契機に地蔵が共同での供養のために祀られた。

 次第に、亡き子の供養の地蔵が、子ども守護、町内安全の地蔵となっていく。地蔵祭祀は京都に始まり大阪に広まり、近畿全域にまで拡大した。今日、全国各地で地蔵盆の行事が行われるようになる。

(※注2)地蔵菩薩(お地蔵さま)は、過去に釈迦が入滅した後から、未来に弥勒菩薩が現れるまでの間の今世において、人間界のみならず地獄・餓鬼・修羅・畜生・天といった六道の全てに赴き、人々を救済する存在とされている。六道に合わせて六地蔵もよく道端などに作られている。

(※注3)幼くしてこの世を去った子供たちが賽の河原に集まって、父母を偲んで河原に石を積んでいると、地獄の鬼たちがやってきてそれを壊し迫害を加えるという。この哀れな子供たちを救ってくれたのが地蔵尊で、地蔵は子供たちの守り本尊とされている。

 このように、地蔵(お地蔵さま)は子供の守り神であり、賽の河原で苦しんでいる子供達の霊を慰めるものとして、『地蔵和讃』にも歌われている。「一重組んでは父のため 二重組んでは母のため(中略)その時能化の地蔵尊(中略)幼き者を御衣の もすその内にかき入れて 哀れみたまうぞ有難き」

(※注4)八月二十三、二十四日の両日、市内六つの地蔵を巡る行事が六地蔵巡りである。六つの地蔵がある場所は、山科、伏見、鳥羽、鞍馬口、桂、常盤と、いずれも洛中と洛外を結ぶ街道の出入り口にあたるところに祀られている。

 現在では貸切バスで巡るが、かつては朝早くから夜までかけて巡ったという。家内安全、厄病退散を祈り、各寺の赤、青、黄、緑、黒、白色のお札を授与してもらい、祇園祭りの厄除けちまきとともに、玄関先に吊るす。


スサノヲ(スサノオ)


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